これまで見てきたエゴのプログラムは、利己(自己中心)が根底プログラムであり、集団化し集団貢献を図ろうとするプログラムであり、自己価値を高め続けようとするプログラムです。
価値を守る
自己価値を高め続けようとするのが攻撃とすると、攻撃一辺倒では生き残れません。守るということも必要です。
自己価値が低くなることを守るプログラムもエゴの主要プログラムです。
防衛機制
これは心理学の防衛機制として知られています。カウンセリングではここは大事なポイントで重点的に学びます。
詳しく知りたい方は「防衛機制」でググって勉強してみてください。
抑圧
エゴは都合がよいことをポジティブに解釈し、不都合なことをネガティブに解釈します。
不都合なことが起きたとき、不快な感情や感覚が生じます。
たとえば、レジの行列に並んでいて、誰かが横から入ってきたとします。すると腹が立つでしょう。
この不快な感覚は嫌なので、直ちになくそうとします。
横から入ってきた人に注意をするという方法を取る場合もあります。
結果、その人が後ろに並び直したら、怒りも収まります。
しかし、いつでもうまくいくとは限りません。横から入ってきた人が強面の人だったとしましょう。
注意してトラブルになったら嫌だし、面倒だから怒りを我慢します。
このケースだけではなく、会社員だったら我慢するケースはたくさんあるはずです。
こうやって不快な思いや体感覚を伴うネガティブな感情を抑えることを専門用語で「抑圧」と呼びます。
この言葉はよく使う言葉なので覚えておいてください。
乖離
抑圧というのは防衛機制の代表的なものです。基本的に覚えておくのは、抑圧だけでよくて、強いて言えば「乖離」も覚えておいてよいでしょう。
抑圧の超強力なバージョンが乖離です。
抑圧しきれないくらい強い傷は、封印する必要があります。
封印して、無意識の底に押し込めることを「乖離」と呼びます。
どうやって抑圧するか?
ではどうやって抑圧するかというのはさまざまなやり方があります。
- なかったことにする
- 違う意味づけを考える
- 妄想で相手をやっつける
- 相手を責めて自分は被害者の立場になる
- 自分が悪かったんだと自分を責める
- 人や状況を避ける
- おどけたり、笑いに変える
- 違う行動をして気を紛らわす
- 自分の行動を正当化する
- 楽しいことを考えて忘れる
これは一例ですが他にもたくさんあるでしょう。
自己価値が傷つけられると必死で守る
レジが混んでいたとか、その程度の不都合ではほとんどネガティブな感覚が出てこないと思いますが、自己価値が傷つけられたときはとても強いネガティブな感覚になるはずです。
たとえば、自分が大事にしているものをバカにされたり、自分の得意で自信があるものを否定されたり、何も取り柄がないと言われたりすると嫌な気持ちになります。
この嫌な気持ちを何とか収めようとし、自分の価値は劣っていないよとなぐさめようとするプログラムが自己価値が低くなることを守るプログラムです。
自己価値を守るエゴのプログラムはその場しのぎ
ちなみにこのプログラムはその場しのぎで根本解決するものではないのが極めて大きな欠点です。
もちろん、このプログラムには意味があります。抑圧しないと、自己価値がなくなることに直接向き合うことになります。
それはほとんどの人にとって耐えられないほどの苦痛なので、このプログラムが必要なのです。
でも本当はこの痛みはエゴが作っている痛みで本当の痛みではありません。
本質はまったく傷ついていません。
エゴの存続のために痛みを作り出していると言えるでしょう。
抑圧は隠すだけ
抑圧というのは隠すだけなのです。
うんちは便器に流す必要がありますが、抑圧はうんちを部屋のどこかに隠す行為です。
隠しても臭うのです。
そのため、また同じ感覚に襲われます。
そして、隠し続けると小さなうんちが集まって大きなうんちになります。
ものすごい臭いを発します。
すると隠しても隠しきれません。
処理をしようとしても大きすぎて便器にあふれてしまうため、根本的な解決法も難しくなります。
少しずつなら便器で流すのも楽ですが、大量のうんちは向き合いたくありません。
するとさらに隠さざるをえなくなり、無理な方法を使わざるを得なくなります。
これがますます苦しませることにつながるのです。
このあたりの仕組みはまた別の記事で。
抑圧するほど苦しみが強くなる
ここでは、抑圧は一時しのぎの方法で、どんどんたまっていくもので、たまっていくほど苦しみが強くなると覚えておいてください。
そして、抑圧を中心とした、心の痛みを隠すプログラムがエゴのプログラムです。