エゴの根底にあるのは欠乏です。
「足りない」が前提にあります。
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水を例にして説明
私たちは基本的には水に困っていません。
蛇口をひねれば水が出てきます。水は私たちが生きる上で欠かせないものですが、恵まれていることに安価で手に入ります。
たくさんあるので、お風呂に水をためても気にしません。
水が足りなくなったと仮定
仮に水が枯渇してしまい、極めて貴重な資源になったとしましょう。
そういう国に行ったと考えてください。
そうなった場合、水を使うことに対して非常に慎重になります。
お風呂に水をためるなどもってのほかになります。
他の人に水をあげる余裕などありません。
エゴはこの状態なのです。
つまり、余裕がないので利己にならざるを得ない状態です。
水が足りないと外から得ようとする
水が足りないとどうするかというと、外から水を何とか手に入れようとします。
実際にどうしようとするでしょうか?
水をくれたら称賛・感謝、水を取られたら激怒
もし、このときにあなたに水をくれるというお人好しに出会えば、感謝感激、称賛の嵐を浴びせるでしょう。
もし、このときにあなたの水を奪うものがいれば、怒り心頭、罵声の嵐を浴びせるでしょう。
貴重な水はただであげられない
あなたの水を欲しがる人がいるとしましょう。
あなたはそれをただであげるでしょうか?
無理な話です。
水と同等かそれ以上に価値があるものとの交換であれば大丈夫でしょう。
水に余裕があるとどうするか
もし、水に少し余裕があるとしましょう。このとき安心するでしょうか?
少しは安心していますが、しばらくすると底を尽きます。水は日々消費するものです。
そうすると、どうにかして水を確保しようとします。
あるとき、掘ると湧き水が湧く場所を見つけました。
そこから水を得るには労働力が必要です。
水に困っている人を水をあげることを条件に掘る労働をしてもらいます。そして、出た湧き水は自分のものになります。
水がたくさんあれば、自分は安心でき、人を従えることができ、人に水をあげれば称賛され、困っている人を助けることができ、いいことづくめです。
水がたくさんあっても不安
しかし、水がたくさんあると、盗まれるリスクもあります。
場合によっては殺されて湧き水の権利を奪われるかもしれません。
水を提供することを条件に湧き水を守る人を雇います。
水はいくらあっても困るものではないので、もっともっと欲しがります。そうやって人生を水を得ることに費やします。
これがエゴがやっていることです。
エゴは水を得るために働き(がんばり)、もっと水を得るために思い悩み、水を得たら喜び・安心し、水を失うと嘆き・悲しみ、水を奪われると怒り、水を中心に人生が展開しています。
エゴが一番欲しているものとは?
水=価値があるものというたとえ
水のたとえは「価値があるもの」と言えます。もちろん水そのものも欠かせない価値がありますが、日常であまり困っていないのでそのありがたみを感じにくいでしょう。
お金は価値があるので欲しがる
水をお金に変えるとしっくりくるでしょう。
お金はあらゆる価値と交換できるので、とても欲しがります。
しかし、一番欲しいものはお金ではありません。もっと欲しいものがあります。
エゴは愛に飢えている
エゴが足りないと思っているもの、心の底から欲しがっているものは「愛」です。
愛というのは単に男女愛を指しません。恋愛や好きも含みますが、もっと広義に、ふれあい、スキンシップ、認め合うこと、わかり合えることなども含むものです。
赤ちゃんは愛がなければ死んでしまう
赤ちゃんは母親とのふれあいが全くなかったら死んでしまいます。人間は社会的動物です。愛は欠かせません。
心の深いレベルでは愛のためなら死んでもいいとさえ思っています。そのくらいエゴは愛に飢えています。
エゴは愛に欠乏していて、愛を外から求めているのです。
もちろん、愛だけではなく、お金や資源など価値があるものも求めています。
愛はエネルギーであり、お金も水もエネルギーです。すべての物質、思い、感情はエネルギーです。
愛を一番求めていることが分かる研究結果
香港大学のボボ・ラウの研究チームは参加者に、これまでの人生で味わった様々なポジティブ、ネガティブな感覚を再度味わうには(ネガティブの場合避けるためには)2~200ドルの間でいくら払っていいかを尋ねました。
出典:「ネガティブな感情が成功を呼ぶ」トッド・カシュダン他
平均金額はこちらです。
- 044ドル30セント 静かで穏やかな気分
- 062ドル80セント 興奮
- 079ドル06セント 幸福感
- 083ドル27セント 恐怖心を避ける
- 092ドル80セント 悲しみを避ける
- 099ドル81セント 恥ずかしさを避ける
- 106ドル26セント 後悔を避ける
- 113ドル55セント 愛情を取り戻すこと
基本的に人はポジティブの感覚よりも、ネガティブの感覚を避けることのほうを優先します。
生存には危機回避が優先されるからです。
それがこの結果にも表れています。
しかし、トップは別です。トップはネガティブではなく愛なのです。
人は愛を最優先します。
愛に最も飢えていて、愛を得るためには苦しみをもいとわないという人々の行動もこの結果から分かると思います。